CSFとは?正しい設定方法について具体例を用いて徹底解説
ビジネスで成功を収めるためには、明確な目標設定と、その達成に向けた戦略が不可欠です。
そこで注目を集めているのが、CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)という概念です。
適切なCSFを設定することで、限られたリソースを活用し、競争優位性を獲得することができます。
しかし、CSFの正しい設定方法を理解している企業は意外と少ないのが現状です。
どのような視点で分析を行い、どのように重要な要因を抽出すれば良いのでしょうか。
本記事では、CSFの基本概念から具体的な設定方法まで、実例を交えながら詳しく解説していきます。
CSF(重要成功要因)とは
CSF(Critical Success Factor)は、組織や事業の目標達成に不可欠な要素を指します。
1961年、D・ロナルド・ダニエルによって提唱されたこの概念は、経営戦略や事業計画において重要な役割を果たします。
CSFは、企業が競争優位を獲得し、長期的な発展を遂げるためのKeyとなる要因です。
これらの要因を特定し、集中的に管理することで、限られたリソースを有効活用できます。
KPI、KGIとの違いとそれぞれの関係性
KPI、KGIは企業の目標設定と評価において重要な役割を果たす3つの要素です。
これらの概念の違いと関係性について、見ていきましょう。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)は、目標達成度を測る具体的な指標です。
CSFの進捗状況を数値化し、継続的に監視するためのツールとして機能します。
https://kwave-inc.co.jp/media/1l3ek2-32
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)は、最終的な目標を示す指標です。
CSFはこのKGIを達成するための重要な要素であり、KPIはCSFの進捗を測るための指標となります。
これら3つの要素は密接に関連しており、KGI達成のためにCSFを特定し、そのCSFの進捗をKPIで測定するという階層構造を形成します。
https://kwave-inc.co.jp/media/odkoan1skb
KPIのツリー構造におけるCSFの役割
KPIのツリー構造は、企業の目標達成プロセスを可視化する手法です。
この構造では、最上位にKGIを置き、その下にCSF、さらにその下にKPIを配置します。
KGIの設定
まずは、KGIの設定です。
組織の最終目標となるKGIを設定します。
例えば、「年間売上高100億円達成」といった具体的な数値目標を掲げます。
CSFの設定
次に、CSFの設定です。
KGI達成に不可欠なCSFを特定します。
先ほどの例では、「新規顧客獲得率の向上」や「既存顧客の満足度向上」などが考えられます。
KPIの設定
最後に、KPIの設定です。
各CSFの進捗を測るKPIを設定します。
「新規顧客獲得率の向上」というCSFに対しては、「月間新規顧客数」や「商談成約率」などのKPIが適切でしょう。
CSFの5つの種類
CSF(Critical Success Factor)には、企業や組織が直面する様々な状況や環境に応じて、5つの主な種類があります。
それぞれ解説していきます。
1.業界に関するCSF
まずは、業界に関するCSFです。
業界特有の成功要因を指します。
例えば、小売業であれば「立地条件の良さ」が挙げられます。
2.競合に関するCSF
2つ目は、競合に関するCSFです。
競合他社との差別化につながる要因です。
「独自技術の開発」などが該当します。
3.一時的な要因に関するCSF
3つ目は、一時的な要因に関するCSFです。
短期的に影響を与える要因を指します。「季節性需要への対応」などがこれに当たります。
4.環境に関するCSF
4つ目は、環境に関するCSFです。
外部環境の変化に関連する要因です。
「環境規制への適合」などが例として挙げられます。
5.マネジメントに関するCSF
5つ目は、マネジメントに関するCSFです。
組織内部の管理に関する要因です。「従業員の技能向上」などがこれに該当します。
CSFの決め方について
CSFの決め方は以下6つのステップです。
それぞれみていきましょう。
1.SWOT分析による現状分析
まずは、SWOT分析による現状分析です。
自社の強み、弱み、機会、脅威を整理し、競争優位性を見出します。
例えば、「技術力の高さ」という強みを活かした「新製品開発」をCSFとして設定できます。
https://kwave-inc.co.jp/media/hg9o767_u3k
2.5フォース分析による現状分析
2つ目は、5フォース分析による現状分析です。
業界の競争環境を分析し、重要な要因を特定します。
新規参入の脅威が高い場合、「ブランド力の強化」をCSFとして設定することが考えられます。
3.PEST分析による現状分析
3つ目は、PEST分析による現状分析です。
マクロ環境を政治、経済、社会、技術の観点から分析します。
技術革新が急速な業界では、「最新技術の導入」をCSFとして設定できるでしょう。
4.バリューチェーン分析による付加価値の把握
4つ目は、バリューチェーン分析による付加価値の把握です。
自社の価値創造プロセスを分析し、競争優位の源泉を特定します。
例えば、「アフターサービスの充実」がCSFとなる可能性があります。
5.KJ法による問題解決方法の整理
5つ目は、KJ法による問題解決方法の整理です。
様々なアイデアや情報を整理し、重要な要素を抽出します。
これにより、「顧客ニーズへの迅速な対応」などのCSFを導き出せます。
6.効果的なCSFの選定
6つ目は、効果的なCSFの選定です。
上記の分析結果を総合的に評価し、最も重要と思われる要因をCSFとして選定します。
ただし、数が多すぎると焦点が散漫になるため、3〜5個程度に絞り込むことをお勧めします。
効果的なCSFを設定し自社のサービスを成功へと導く
CSF(重要成功要因)の適切な設定と活用は、企業の持続的な発展に欠かせません。
本記事で紹介した各種分析手法を用いて自社の状況を的確に把握し、真に重要な要因を特定することが大切です。
CSFを基にKPIを設定し、定期的に進捗を確認することで、目標達成への道筋が明確になります。
また、環境変化に応じてCSFを柔軟に見直すことも忘れずに。
適切なCSF設定により、限られたリソースを最大限に活用し、競争優位性を確立できます。
自社の強みを活かし、弱みを克服するCSFを設定することで、持続的な改善サイクルを生み出し、長期的な成長への道を切り開くことができるでしょう。