トリプルメディアとは?活用のメリットから事例までをご紹介
現代のデジタルマーケティングにおいて、「トリプルメディア」という概念が注目を集めています。
トリプルメディアとは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアの三つのメディアを指し、それぞれの特徴を理解し、活用することで、企業のマーケティング戦略を飛躍的に向上させることができます。
本記事では、トリプルメディアの基本的な概念から、その活用のメリット、さらに実際の事例を交えながら詳しく解説していきます。
これからのデジタルマーケティングにおいて、トリプルメディアの戦略を取り入れることが、いかに重要であるかをご紹介します。
トリプルメディアとは
トリプルメディアは、デジタルマーケティングにおいて重要な役割を果たす三つのメディア、すなわちオウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアを指します。
この概念は、アメリカの広告代理店、オグルヴィ・アンド・メイザー(Ogilvy & Mather)によって提唱されました。
同社の創設者であるデビッド・オグルヴィがその基本的なフレームワークを構築し、デジタル時代に適応させたものです。
トリプルメディアの理解は、企業がスムーズにブランド認知を高め、消費者とのエンゲージメントを深めるために不可欠です。
では、それぞれのメディアの特徴と役割を見ていきましょう。
トリプルメディアの3分類
トリプルメディア戦略は、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアという3つの主要なメディアタイプの組み合わせに基づいています。
これらのメディアは、マーケティング戦略において異なる役割を果たし、それぞれが独自の利点を持っています。
ここからは、3つのメディアについてそれぞれ解説していきます。
オウンドメディアとは
まず、オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が自ら所有・運営するメディアを指します。
具体的には、公式ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアアカウント、ニュースレター、モバイルアプリなどが該当します。
これらのメディアを通じて、企業は自社のメッセージを直接発信し、ブランドの価値やストーリーを消費者に伝えることができます。
オウンドメディアの最大の利点は、企業が完全にコントロールできる点にあります。
コンテンツの内容、タイミング、頻度を自由に設定できるため、戦略的な情報発信が可能です。
また、長期的な視点で見ると、オウンドメディアはコストパフォーマンスが高く、信頼性のある情報源として位置付けられることが多いです。
ペイドメディアとは
次に、ペイドメディア(Paid Media)とは、広告費を支払って利用するメディアを指します。
代表的な例として、テレビ広告、ラジオ広告、新聞広告、雑誌広告、オンライン広告(ディスプレイ広告、検索連動型広告、ソーシャルメディア広告)などがあります。
ペイドメディアの主な目的は、短期間で広範なターゲット層にリーチすることです。
特に、新商品やキャンペーンの告知、ブランド認知度の向上などに活用可能です。
また、ペイドメディアは詳細なターゲティングが可能であり、特定の地域、年齢層、興味関心などに応じた広告配信ができる点が魅力です。
さらに、広告の効果測定が容易であり、クリック率、インプレッション数、コンバージョン率などのデータを基に、広告戦略の改善が図れます。
アーンドメディアとは
最後に、アーンドメディア(Earned Media)とは、企業が直接コントロールできない、第三者によって生成・共有されるメディアを指します。
具体的には、口コミ、レビュー、ソーシャルメディアでのシェアやコメント、ブログ記事、ニュースサイトでの報道などが該当します。
アーンドメディアの最大の利点は、第三者の信頼性を活用できる点にあります。
消費者は、企業の公式情報よりも、他の消費者や信頼できるメディアからの情報を信じる傾向があります。
そのため、アーンドメディアはブランドの信頼性を高め、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤリティ向上に大きな影響を与えます。
しかし、企業が直接コントロールできないため、ポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報も広まる可能性がある点には注意が必要です。
では、そんなトリプルメディアを活用するメリットは何なのかについて見ていきましょう。
トリプルメディアを活用するメリット
トリプルメディア戦略の最大のメリットは、異なるメディアを通じた多角的なアプローチにあります。
これらのメリットを以下5つに分けて解説します。
1.ブランド認知度の向上
まず、トリプルメディアを効果的に活用することで、ブランドの認知度を大幅に向上させることができます。
オウンドメディアでは、企業の公式ウェブサイトやブログ、ソーシャルメディアアカウントを通じて、自社の製品やサービスに関する情報を発信します。
ペイドメディアでは、広告キャンペーンやスポンサーシップを利用して、より広範なターゲット層にリーチします。
そして、アーンドメディアでは、顧客の口コミやレビュー、ソーシャルメディアでのシェアを通じて、第三者からの信頼性を高めます。
これらのメディアが相互に補完し合うことで、ブランドの認知度は飛躍的に高まります。
2.コスト効率の改善
次に、トリプルメディアの特性を理解し、適切に組み合わせることで、マーケティングのコストパフォーマンスを大幅に改善できます。
例えば、初期段階でペイドメディアを利用して新規顧客を獲得し、その後オウンドメディアを通じて顧客とのエンゲージメントを強化します。
さらに、満足した顧客がアーンドメディアでポジティブなフィードバックを提供することで、新たな顧客を自然に引き寄せることができます。
この循環をスムーズに活用することで、広告費用を抑えつつ、高いパフォーマンスを実現できます。
3.消費者とのエンゲージメント強化
3つ目に、トリプルメディアを活用することで、消費者とのエンゲージメントを強化できます。
オウンドメディアを通じて、ブランドのストーリーや価値観、製品の使用方法などを詳細に伝えることができます。
これにより、顧客との直接的なコミュニケーションが可能となり、関係を築くことができます。
アーンドメディアでは、消費者が自発的にブランドについて言及し、他の潜在顧客に対する期待度を高めることができます。
これらの活動が相乗効果を生み、顧客との深いエンゲージメントが実現します。
4.データの活用と分析
4つ目に、各メディアから得られるデータを総合的に分析することで、消費者の行動や嗜好をより正確に把握することができます。
オウンドメディアでは、ウェブサイトのアクセス解析やソーシャルメディアのエンゲージメントデータを収集し、消費者がどのようなコンテンツに興味を持っているかを理解できます。
ペイドメディアでは、広告のクリック率やコンバージョン率を分析し、キャンペーンの達成度を測定します。
アーンドメディアでは、口コミやレビューの内容を分析することで、消費者のフィードバックを直接取得できます。
これらのデータを統合して分析することで、マーケティング施策の改善や新たな戦略の策定が可能になります。
5.柔軟なマーケティング戦略の展開
最後に、トリプルメディアを組み合わせることで、変化する市場環境や消費者のニーズに対して柔軟に対応するマーケティング戦略を展開できます。
例えば、オウンドメディアを通じて新製品の詳細情報を提供し、ペイドメディアでそのプロモーションを行います。
同時に、アーンドメディアで顧客のフィードバックを収集し、それに基づいて迅速に戦略を調整することができます。
このような柔軟性が、競争の激しい市場において競争優位性を保つために重要です。
では、トリプルメディアとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
トリプルメディアの3つの分類とともに解説していきます。
トリプルメディアはもう古いのか、PESOモデルとの違い
近年、デジタルマーケティングの進化に伴い、トリプルメディア(オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディア)の枠組みに代わって、PESOモデルが注目を集めています。
PESOモデルは、トリプルメディアにシェアードメディアを加えたもので、マーケティング活動をより包括的に捉えることができる新しいフレームワークです。
ここでは、PESOモデルについて解説していきます。
PESOモデルとは
PESOモデルは、Paid(ペイド)、Earned(アーンド)、Shared(シェアード)、Owned(オウンド)の4つのメディアタイプを組み合わせたものです。
それぞれのメディアの特徴を活かし、統合的にマーケティング戦略を展開するためのアプローチです。
①Paid Media(ペイドメディア):従来の広告費を支払って利用するメディア。オンライン広告、テレビ広告、ラジオ広告など。
②Earned Media(アーンドメディア):第三者によって生成・共有されるメディア。口コミ、レビュー、ソーシャルメディアでのシェアなど。
③Shared Media(シェアードメディア):企業がソーシャルメディア上で消費者と共にコンテンツを共有・発信するメディア。Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアでの投稿やエンゲージメント。
④Owned Media(オウンドメディア):企業が自ら所有・運営するメディア。公式ウェブサイト、ブログ、メールニュースレターなど。
トリプルメディアとの違い
トリプルメディアは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアの三つのメディアタイプを強調しますが、PESOモデルはこれにシェアードメディアを加え、より包括的なアプローチを提供してくれます。
主な違いを3つ解説します。
①包括性
まず、PESOモデルは、トリプルメディアの枠組みを拡張し、ソーシャルメディア上での企業と消費者の相互作用を取り入れています。
これにより、現代のデジタルマーケティング環境において、より包括的でダイナミックな戦略が可能になります。
②相互作用の強調
次に、PESOモデルでは、シェアードメディアを通じて、企業と消費者が共同でコンテンツを作成・共有することを重視しています。
この相互作用は、ブランドロイヤルティを高め、消費者エンゲージメントを高める上で重要です。
③戦略的統合
最後に、PESOモデルは、各メディアタイプを独立して活用するのではなく、相互に補完し合うように統合することを推奨しています。
これにより、マーケティング活動を最大化し、より達成度の高いキャンペーン展開が可能となります。
企業は、PESOモデルを活用することで、デジタル時代に適応した柔軟かつ達成度の高いマーケティング戦略を構築できるのです。
では実際にどのようにトリプルメディアを活用していけばいいのでしょうか。
実際の事例と一緒に見ていきましょう。
トリプルメディアの活用事例
ここからは、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアを上手く組み合わせて成果を上げた企業の具体的な事例を紹介します。
1.スターバックス
まず、スターバックスは、オウンドメディアである公式ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて、ブランドの物語や価値観を共有しています。
また、ペイドメディアでは新商品や限定オファーの広告を展開し、顧客の興味を引きつけています。
さらに、スターバックスは顧客によるSNS上での積極的な口コミや共有(アーンドメディア)を促進し、ブランドの認知度とロイヤリティを高めています。
2.ニッケンコーポレーション
次に、ニッケンコーポレーションは、オウンドメディアである自社ウェブサイトを活用して製品情報や業界ニュースを提供し、顧客との関係を強化しています。
ペイドメディア戦略としては、ターゲット市場を絞ったオンライン広告を展開し、新規顧客の獲得に努めています。
それと同時に、品質の高い製品とサービスにより顧客からの自然な推薦(アーンドメディア)を獲得し、ブランドの価値を高めています。
3.ユニクロ
最後に、ユニクロは、オウンドメディアとしての公式ウェブサイトやソーシャルメディアで、ファッションに関する最新のトレンド情報や製品紹介を行っています。
ペイドメディアでは、季節やイベントに合わせた広告キャンペーンを展開し、広範囲の顧客にアプローチしています。
また、ユニクロは品質と価値に重点を置いた製品により、顧客の自発的なSNSでの共有や口コミ(アーンドメディア)を活発にしています。
これらの事例から分かるように、トリプルメディアの戦略は異なる業界やビジネスモデルにおいても高く機能し、ブランドの価値を高めることができます。
トリプルメディアをマーケティングに活かして効果を上げる
この記事では、トリプルメディアの概念とその活用方法について解説し、達成度の高いマーケティング戦略の構築に役立つ内容をお伝えしました。
オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアを組み合わせることで、ブランドの認知度向上、コストパフォーマンスの改善、消費者とのエンゲージメント強化、データの活用と分析、柔軟なマーケティング戦略の展開が可能になります。
また、PESOモデルについても触れ、トリプルメディアにシェアードメディアを加えた新しいフレームワークが、現代のデジタルマーケティングにおいていかに価値があるかを説明しました。
トリプルメディアおよびPESOモデルを活用することで、企業は変化する市場環境に迅速に対応し、競争力を維持することができます。
マーケティング戦略の中でこれらのフレームワークを取り入れ、長期的な成功を目指しましょう。
読者の皆様がトリプルメディアを活用し、成功することを願ってやみません。