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デジタルプロダクト開発

    AI導入で失敗しないために知っておきたいポイントと正しいステップ

    近年、多くの企業がAIツールの導入を検討していますが、どのように取り入れ、活用していけばよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

    本記事では、既存のAIツールを導入する際のポイントやステップを詳しく解説します。

    また、後半では自社専用のオリジナルAI開発についても触れていきます。

    導入検討から実践まで、AIツールを活用するためのノウハウをみていきましょう。

    AIを導入する前に知っておきたいこと

    AIツールの導入は企業にとって大きな投資となる可能性もあるため、導入前に把握しておくべきポイントがいくつかあると言えます。

    ここでは、AIで実現できることから、導入時の課題、人材面での考慮点まで、押さえておきたい基礎知識について解説します。

    AIの導入で実現できること

    AIの導入で実現できること
    AIツールを導入することで、4つの主要な分野での業務改善が見込めます。

    まずは画像認識です。防犯カメラの映像から不審者を検知したり、製造ラインでの不良品を自動で見分けたりすることが可能になります。

    2つ目は音声認識で、会議の議事録作成や電話対応の自動文字起こしなどに活用できます。

    3つ目の自然言語処理では、問い合わせ対応の自動化やテキストデータの分析が実現できます。

    そして最後に予測分析です。

    過去のデータを基に売上予測や需要予測を行い、在庫管理の最適化などに役立てることができます。

    現状のAI導入状況

    総務省の令和5年版情報通信白書によると、企業におけるAI導入率は着実に上昇傾向にあります。
    https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/index.html

    特に大企業では30%以上の企業がすでにAIを導入しており、中小企業でも導入検討が進んでいます。

    効果測定の難しさ

    AIツールを導入した後の効果測定には、3つの課題があります。

    まずは、複数の要因が絡み合うことです。

    例えば、売上が向上した場合、それがAI導入の効果なのか、他の施策の影響なのかを切り分けることが難しい場合があります。

    2つ目は、定性的な効果の数値化です。

    カスタマーサービスの質の向上や従業員の作業負担軽減といった効果は、具体的な数字で表しにくい面があります。

    そして3つ目は、長期的な影響の測定です。

    AIの学習精度は時間とともに向上していくため、短期的な評価だけでは本来の価値を測れない可能性があります。

    イニシャルコストがかかる

    AI導入には主に4つのコストが発生します。

    まずはツール自体の導入費用です。

    既存のAIツールであっても、企業規模や利用人数によっては数十万円から数百万円の費用が見込まれることもあるでしょう。

    2つ目は、環境整備のためのインフラ費用です。

    サーバーやストレージの増強、ネットワーク環境の整備などが含まれます。

    3つ目は、データの整理・クレンジング費用です。

    AIに学習させるためのデータを整備する作業には、予想以上の時間と手間がかかることがあります。

    最後に、従業員のトレーニング費用です。

    新しいツールの使い方を学ぶための研修や、運用マニュアルの整備などが必要となります。

    AI人材が必要となる

    AIツールを最大限に活用するには、専門知識を持った人材の存在が不可欠です。

    データサイエンティストやAIエンジニアといった専門家は、AIツールの選定から導入、運用、改善まで一貫して関わることで、企業にとって最適な活用方法を見出すことができます。

    また、既存の従業員の中からAI担当者を育成する場合も、相応の教育期間と費用が必要です。

    なお、社内にAI人材を抱えることが難しい場合は、KWAVEでAI導入のコンサルティングから運用支援まで承っております。

    詳しくは以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
    https://kwave-inc.co.jp/contact


    AIの導入ステップ

    AIツールを導入する際は、計画的なアプローチが欠かせません。

    ここでは、目的設定から実践、改善までの具体的なステップを紹介します。

    各段階でのチェックポイントを押さえることで、スムーズな導入を実現できます。

    AI導入の目的、解決したい課題設定

    はじめに明確にすべきは、なぜAIを導入するのかという目的です。

    「競合他社が導入しているから」といった漠然とした理由ではなく、「受注処理の時間を半減させたい」「品質検査の精度を95%以上に高めたい」といった具体的な目標を設定します。

    こうした明確な目標があることで、導入後の効果測定もしやすくなります。

    データの確認

    AIツールの導入を検討する際は、まず手元にあるデータの状況を3つの観点から確認します。

    まずはデータの量です。

    AIの精度を高めるには十分な量のデータが不可欠で、少なすぎるとツールの性能を十分に引き出せない可能性があります。

    2つ目は、データの質です。

    誤入力や欠損値が多いデータは、AIの学習に悪影響を与える可能性があります。

    そのため、データクレンジングと呼ばれる整理作業が求められます。

    3つ目はデータの形式です。

    表計算ソフトのデータ、画像、音声など、どのような形式のデータをAIに学習させるのかを明確にします。

    実務における活用範囲の検討

    AIツールの活用範囲は、以下の3つのステップで検討します。

    まずは、現在の業務フローを可視化します。

    どの工程に時間がかかっているのか、ミスが発生しやすい箇所はどこかなどを洗い出します。

    2つ目は、AIツールが得意とする作業の特定です。

    定型的な判断や大量データの処理など、AIが威力を発揮できる領域を見極めます。

    そして最後に、人間が担うべき業務との切り分けです。

    顧客との微妙なコミュニケーションや、創造的な企画立案など、人間にしかできない業務はAIに任せすぎないよう注意が必要です。

    初期費用

    導入時に発生する費用は、主に4つのカテゴリーに分類されます。

    まずはAIツール本体の費用です。

    月額制のサブスクリプションタイプか、買い切り型かで費用構造が大きく変わります。

    2つ目は、インフラ整備費用です。サーバーの増強やネットワーク環境の整備など、システム面での投資が求められます。

    3つ目は、データ整備の費用です。既存データの整理や、新規データの収集にかかる人件費などが含まれます。

    最後は、教育研修費用です。従業員がAIツールを使いこなせるようになるまでの研修費用を見込んでおく必要があります。

    AIにデータを学習させる

    データの学習プロセスは3つの段階で進めていきます。

    まずは、学習用データの準備です。

    収集したデータを、学習用、検証用、テスト用に分けて整理します。

    この際、データの偏りがないよう注意を払います。

    2つ目は、パラメータの調整です。

    AIの判断基準となる設定値を、業務内容に合わせて最適化していきます。

    そして最後に、学習結果の検証です。

    テストデータを使って精度を確認し、必要に応じて再学習を行います。

    実践と改善

    AIツールの本格導入は、4つのフェーズで段階的に進めます。

    まずは、小規模な範囲での試験運用です。

    特定の部署や限られた業務範囲で使用してみて、課題を洗い出します。

    2つ目は、運用ルールの整備です。

    使用手順やトラブル対応の方針を明確化し、マニュアルとして整備します。

    3つ目は、段階的な展開です。

    試験運用の結果を踏まえて、徐々に使用範囲を拡大していきます。

    最後は、定期的な効果測定と改善です。

    利用状況や業務効率の変化を定期的に確認し、必要な調整を加えていきます。

    おすすめのAIツール5選

    数多く存在するAIツールの中から、実績のある5つのツールを厳選しました。

    それぞれのツールの特徴や活用シーンを解説していきます。

    営業支援AI「SalesForce Einstein」

    顧客データの分析から商談の優先順位付け、売上予測まで、営業活動を包括的に支援します。

    過去の商談データを基に、成約確率の高い案件を自動で判別することも可能です。
    https://www.salesforce.com/jp/artificial-intelligence/

    需要予測AI「MAGELLAN BLOCKS」

    季節変動や市場トレンドを考慮した精密な需要予測を実現します。

    在庫の最適化や生産計画の立案に役立ち、機会損失とコストの削減に貢献します。
    https://www.magellanic-clouds.com/blocks/

    業務自動化AI「UiPath」

    定型業務の自動化に特化したAIツールです。

    データ入力やファイル整理、請求書処理など、日常的な事務作業を効率化します。
    https://www.uipath.com/ja

    画像認識AI「Google Cloud Vision AI」

    商品画像の自動分類や不良品の検出、ドキュメントのOCR処理など、画像に関連する幅広い業務を効率化します。

    高い認識精度と豊富なAPIが特徴です。
    https://cloud.google.com/vision

    コールセンターAI「COPC.AI」

    通話内容の自動文字起こしや感情分析、FAQの自動応答などを実現します。

    オペレーターの業務負担軽減と顧客満足度の向上に役立ちます。
    https://www.copc.com/

    生成AIツールについての詳細は、以下の記事もご覧ください。
    https://kwave-inc.co.jp/media/pwr3rzus33


    AIの導入事例

    実際の企業がAIをどのように活用し、どんな成果を上げているのか。

    5つの業界での具体的な導入事例を紹介します。

    小売業:来店客数予測システム

    AIによる気象データと過去の来店データの分析により、時間帯別の来店客数を予測。

    人員配置の最適化を実現し、人件費を15%削減しました。

    製造業:品質検査の自動化

    製造ラインにAIカメラを設置し、製品の外観検査を自動化。

    検査精度が従来比20%向上し、人的ミスによる不良品の流出がゼロになりました。

    金融業:審査業務の効率化

    融資審査にAIを導入し、過去の取引データと外部データを組み合わせた与信判断を実現。

    審査時間が従来の1/3に短縮されました。

    物流業:配送ルート最適化

    配送先データと交通情報をAIで分析し、最適な配送ルートを自動算出。

    燃料費が12%削減され、配送時間も短縮されました。

    サービス業:問い合わせ対応の自動化

    チャットボットにAIを導入し、24時間対応を実現。

    単純な問い合わせの80%を自動化し、オペレーターは複雑な案件に注力できるようになりました。

    自社専用のオリジナルAIを開発、導入するには

    既存のAIツールではなく、自社専用のAIシステムの開発を検討されている方向けに、開発に必要な要素を詳しく解説します。

    人材やコスト、開発期間など、計画時に考慮すべきポイントを押さえていきます。

    自社開発に必要な人材とスキル

    AIの自社開発には、3つの専門領域の人材が不可欠です。

    まずはデータサイエンティストです。

    統計学や機械学習の知識を持ち、データ分析からモデル構築まで担当します。

    2つ目はAIエンジニアです。

    プログラミングスキルを活かしてAIシステムの実装を行います。

    3つ目はドメインエキスパートです。

    業界知識や業務知識を活かして、AIの学習方針や評価基準を定めます。

    開発環境の整備

    自社開発には、以下の4つの環境整備が求められます。

    まずは開発用サーバーとストレージです。

    大量のデータを処理するため、高性能な機器が必要です。

    2つ目は開発ツール群です。

    プログラミング言語やフレームワークなど、必要なソフトウェアを選定します。

    3つ目はテスト環境です。

    本番環境に影響を与えずに動作確認ができる環境を用意します。

    最後にセキュリティ対策です。

    機密データを扱うため、堅牢なセキュリティ体制が求められます。

    開発期間と工数

    一般的な自社開発の場合、構想から運用開始まで以下の4つのフェーズで約1年が目安です。

    まずは要件定義で3ヶ月程度です。

    業務分析やシステム設計を行います。

    2つ目は開発フェーズで6ヶ月程度です。

    実際のプログラミングとテストを繰り返します。

    3つ目は検証フェーズで2ヶ月程度です。

    本番環境に近い状態で動作確認を行います。

    最後は導入フェーズで1ヶ月程度です。実際の業務での利用を開始します。

    自社開発のリスクと課題

    開発には主に4つのリスクが存在します。

    まずは開発の長期化です。

    予期せぬ技術的な問題や、要件の変更により、当初の計画より大幅に時間がかかることがあります。

    2つ目は予算の超過です。

    環境整備や人材採用、外部委託などで想定以上のコストが発生する可能性があります。

    3つ目は人材の確保と維持です。

    AI開発の専門家は市場での需要が高く、採用や定着が難しい状況です。

    そして最後は、期待する効果が得られないリスクです。

    技術的な限界や、運用体制の不備により、想定していた成果を上げられない可能性があります。

    このように、自社でのAI開発には様々な課題があります。

    そのため、KWAVEではAI開発の豊富な実績を活かし、お客様のニーズに合わせた開発支援を行っています。

    以下の問い合わせフォームからご相談ください。
    https://kwave-inc.co.jp/contact


    AI導入の成功に向けたポイントを総まとめ

    AI導入を検討される企業が増える中、その道のりは決して平坦ではありません。

    しかし、本記事で解説した通り、明確な目標設定と段階的なアプローチを取ることで、確実に成果へとつながります。

    既存のAIツールを活用する場合は、自社の課題に合わせた適切なツール選定がKeyとなります。

    また、運用体制の整備や人材育成にも十分な時間をかけることで、持続的な活用が可能になります。

    自社開発を検討される場合は、開発に伴うリスクと社内リソースを慎重に検討し、場合によっては外部の専門家に相談することをお勧めします。

    AIはあくまでもツールです。

    それを使いこなす人材と、適切な運用体制があってこそ、本来の価値を発揮します。

    まずは小さな範囲から始めて、徐々に活用範囲を広げていく。

    そんな着実なステップを踏むことが、AI導入の真のKeyとなるのです。

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